YouTubeというプラットフォームが抱える問題点

先日のローガン・ポールが起こした問題において日本のみならず、米国でも問題視されるようになりYouTubeが対処を発表するまでに至った。

このことがきっかけとなり、日本国内ではYouTuberの在り方についても議論が起こっている。

大体は「低俗だから見るべきではない」といった否定派と「人気があるから違法じゃなきゃいいじゃないか」という肯定派の議論が平行線を辿っているのが実情だ。

私としてはYouTubeそのものは有益となりうるプラットフォームだと感じているし、YouTuber自体をひとくくりに悪と断じる気もない。

しかしそれでも現状のYouTubeの在り方には問題があると思っている。

おそらくは否定的な方達が感じているであろう感想と同じなのだが、皆論拠に乏しく、感情的な議論に終始しているため、たんなる言い合いとなっているので、なぜ現状問題があるのかを詳しく考察してみようと思う。

 

ローガン・ポールのようなYouTuberが「ウケる」背景

 

今回のローガン・ポールの事件では「自殺動画」をアップしたことで大問題となったが、彼がそれ以前にアップしたものも、すべからく日本で迷惑行為を働いたような質の悪いものばかりだった。

それらは仮にこの自殺動画の騒動がなければあまり騒がれなかった可能性が高い。

ということはこれまで自殺動画以前の動画を喜んで見ていた(主に米国人だろうが)視聴者が大勢おり、問題視もしてこなかったということだ。

もちろんそこには白人主義によるアジア人蔑視などの感情も絡んでくるため少々複雑ではあるものの、基本は「悪ふざけが面白い」と思うから人気が出ているわけだ。

これは人種差別云々がなくとも、日本国内のYouTuberにおいても見られる傾向がある。

 

そしてそれはYouTubeにおいて子供のユーザーが非常に多く、子供に受けるものを製作することが何より手っ取り早く視聴数を稼げるということが根底にある。

そういった背景によりYouTubeにはローガン・ポールのようなYoutuberが跋扈する事態となってしまっているわけだ。

 

「子供向け」ではなく「子供受け」のコンテンツばかりが人気になる

 

もちろん子供に向けたコンテンツを作ることはなにも悪いことではない。

それらがYoutubeに存在してはいけないわけでも勿論無い。

ここが問題で、このことを背景に「子供に受けるコンテンツを作ってなにが悪い」とばかりに質の悪いコンテンツが量産される要因となっている。

 

良識ある大人がそれなりに考え、そのうえで子供向けの内容で質の高いものを製作すればそれは立派に「子供向け」として視聴に値するものとしていいだろう。

しかしそうではなく今回の悪ふざけ動画のような精神的に幼稚な青年や大人がただ子供と同じレベルにまで降りて「子供に受ける」内容を発信しているものは「子供向け」とは似て非なるものであり、それを大人が盛り立てることは咎められるべきなのだ。

 

それは何故か。

子供というのは得てして低俗で単純なものを面白いと思うのが道理だ。

それ自体は非難されるような事ではないし仕方のないことだろう。

しかしそれらはあくまで子供たちの輪の中でのみ共有されるべきことであり、大人はそれをたしなめつつ、当の子供もそれを受けて次第にそれをくだらないものとして成長するものなのだ。

 

ところがそれをたしなめるどころか大人が動画として公開してしまう。人気だと囃し立ててしまう。

たしなめる側の大人であるはずの者が非常に低俗で馬鹿なことをやっているのを見ることとなり、また「人気動画」「人気Youtuber」として行為や人物に一定の市民権まで与えてしまうのだ。

もちろん子供がやっていても、「人気だ」として大人が媚びて褒めてしまえばそれは同じことだ。

そうすると子供たちの文化は低俗化に拍車がかかる。

またそんな行為や人物が認められていると感じた子供たちは所謂「大人」に成長することなく、社会はますます幼稚化していってしまうのだ。

 

もちろんYouTubeだけに限った話ではなく、一部の既存メディアにおいてもそのような傾向はあり、それは決して褒められたものではない。

そのような理由で、やはり大人やメディアの側が子供の低俗な行為を煽るべきではないと思う。

そしてそれがエスカレートすれば当然今回のローガン・ポールのような行いをするものが出てきてしまうわけで、百害あって一利なしというわけだ。

 

やはりメディアや大人が子供に与えるものというのは、たとえ子供向けであっても教育的な影響も考えてきちんとしたコンテンツが普及するべきである。

目先の金や人気の為に子供たちの成長に悪影響のあるようなものを垂れ流すべきではないし、そういった行為はもっと社会で糾弾される必要があると思う。

そういう意味でそういった問題視がまだまだ甘く、コンテンツに「子供受け」するようなものが多い現状のYouTubeは問題のあるメディアだと言わざるを得ないだろう。

勿論それを囃し立てて人気に便乗しているような既存メディアも同罪だが。

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